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アキ・カウリスマキ 『街のあかり』

Sun.02.09.2007
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akari

今日は映画の料金が安くなる日!だからというわけではないが、シネウインドで公開されているアキ・カウリスマキ監督の最新作『街のあかり』を観てきた。

最高だった。今日、カウリスマキは僕の最も好きな監督の一人になった。
ストーリーをちょっと説明すると、夜警員のコイスティネンがカフェでミルヤという女に出会い恋に落ちる。しかし、実はミルヤはギャングに仕向けられた女だった。ギャングはコイスティネンがいつも夜警をしているデパートの宝石店を狙って、ミルヤを操っているのだ。それを知らないコイスティネンは宝石強盗の罪を着せられ、もちろんミルヤへの恋にも敗れ、刑務所にも入れられ、……と、とにかくミルヤと出会ってしまったせいで不幸のどん底に突き落とされるのだ。
だけど、カウリスマキ監督はこの不幸な主人公のために最後の最後にあたたかい希望を用意している。それは観てのお楽しみ。

僕がこの監督を気に入った理由は、なんといってもショットの構図と人物の表情にある。例えば主人公のコイスティネンは、決して笑わない。いつも眉間にしわを寄せている。それがカッコいいと思っているのだろうか。仕事が終わり、ロッカールームで同僚たちに挨拶したが無視され、ひとりで上着のジッパーをもぞもぞと上げる、そんなときも表情を変えず、彼はずっと眉間にしわを寄せている。僕はこのシーンを観て、心の中で爆笑してしまった。今挙げたのは顕著な例だが、冒頭部分はほとんど全てのショットで笑わせてくれる。絶対に笑わない登場人物たちが並んでこっちを見つめている、それだけでもう観ている人は笑ってしまうのだ。僕の周りからも常にクスクスという笑いが起こっていた。(しかし、こういう面白さは説明するのが難しい。実際に映画を観てみないと、わからないと思う。)
そして今まで絶対に笑わなかったコイスティネンが、刑務所の中で他の囚人たちと話しているときに、唯一見せるあの自然な笑顔。その対比が、胸を締め付けるのだ。それまでは笑っていた観客も、切なくなり、笑えなくなる。これは本当に上手いと思った。
僕はこの可哀想な負け犬コイスティネンに、本気で同情した。彼の行動はいちいち情けなさすぎるのだ。ミルヤとのデートの場面、乗っている車はけっこうカッコいいのに、ラジオのアンテナを伸ばしすぎている。情けない。パブの前に1週間も繋がれたままでいる犬を助けるために飼い主を突き止めたら、いかにもワルそうでマッチョなやつだった。もちろんボコボコにされて、鼻血をタラリと流す。情けない。こんな風に、どんなにカッコ悪いことになっても、彼はいつも眉間にしわを寄せている。
これほどまでに情けなくてカッコ悪い主人公を、僕は初めて見た。情けない主人公というものはだいたいにおいて観客の自己投影を誘うものだけど、コイスティネンは情けなさすぎてそんな隙すらない。でもなぜか、たまらなく愛しいのだ。


エヴァンゲリオン新劇場版も観に行こうかと思ったが、『街のあかり』の感動を薄めたくなかったので、やめた。


『街のあかり』トレイラー





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テーマ : 映画館で観た映画 - ジャンル : 映画

タグ : アキ・カウリスマキ 街のあかり 映画 シネウインド 新潟 エヴァンゲリオン 新劇場版

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